猫ダズリレーwakamico

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  猫ダズリレー小説企画
恐れ多くもナルカミ様の猫ダズリレー企画に参加させて頂きました。

★前走者様 445様 http://801sm2.blog41.fc2.com/blog-entry-242.html



 一緒にくるか? 

そのセリフはクロコダイルが裏路地で拾った、この仔猫たちへ言ったのと同じ言葉だった。
行くあてもなく世の中から見捨てられた存在。 
拾うつもりなどなかった。 
そのうち諦めるだろうと放っておいても、 それでも必死にみゃあみゃあとまとわりつき見上げてくる猫たちに、 何故かクロコダイルは既視感を感じた。
「仕方ねェな。一緒に、くるか…?」
言葉などわかるはずもないのに、みゃおん!とひときわ高く鳴いた猫たちを思い出す。
今の自分はドフラミンゴにとってあの猫たちのように庇護すべき存在か、 とクロコダイルは皮肉気に口元を歪めた。
インペルダウンからの脱獄、加えて白ひげ海賊団への加担。 
不本意ながらあの麦わらを逃がす手助けまでして。 
海軍どころか世界政府からも追われる身となった自分に関わるなど、 どう考えてもリスクが高すぎる。 
何か裏でもあるのかとクロコダイルは用心深く警戒を深めた。
いちいち寝た男など覚えてはいないが、 クロコダイルにとって短くはない期間関係のあったドフラミンゴは悪くはない男だった。 
上等で丁寧な愛撫も気に入っていたし手馴れた手順も面倒がなくていい。 
望めば自虐めいた気持ちに応えて倒錯的な楽しみさえも満たしてくれる。 
だが最初に誘いに乗ったのもただの気まぐれにすぎない。 
深く関われば関わるほど一切信用ならないことだけはよく理解出来た。 
二人の間に真実などは存在しないのだから。
今の今までお得意のスマイルとやらを向けておきながら、 次の瞬間には相手の首を刎ねているような男だ。 
この場に現れたのも海軍からクロコダイルへの抹殺命令が下されたからであってもおかしくはない。
負けるつもりもないがこの状態では少々やっかいな相手ではあった。
「もう一度きくぞ。何をしにきた」
わずかな変化すら見逃すまいと目を眇める。
クロコダイルから発せられる殺気がぴりぴりと肌を刺すのを感じながらも、 ドフラミンゴは心底楽しそうに笑った。
「理由が必要か?」
じゃあ、教えてやるよと告げながらクロコダイルの顎に手をかけ顔をあげさせる。
「くだらねェことに打ちひしがれて気位の高いお前がボロボロに堕ちていくのが…」
指先は顎から首筋にはって襟元からのぞく薄赤い鬱血を順になぞっていった。 
薄いシャツの隙間から無遠慮に入り込んだドフラミンゴの指はクロコダイルの赤く 腫れた胸の尖りを捕らえて摘み取ろうとする。
「オイ、やめ…っ」
二人を取り巻く艶を帯びた空気に、ダズは唇をきつく噛みしめ怒りで握り締めた拳が震える。 
ドフラミンゴがダズにも聞こえるようにクロコダイルの耳元に囁いた。
「無様に堕ちていくのが、おもしれぇからだよ」
        
この人の痛みも知らないくせに。
お前のような奴が触れていい人ではない! 

カッと頭に血が上って気がつけば刃化した右腕をドフラミンゴへ振り降ろしていた。
「汚い手でその人に触るな!」
「犬の分際で嫉妬かァ?」
ドフラミンゴは薄ら笑いを浮かべなら切りかかってきたダズを難なく交わすと、指先をクイと折り曲げた。
「ぐ……ッ!!」
再び腕を向ける間もなく床に四つん這いにされたダズを見下ろし狂気じみた笑い声が響いた。
「フッフッフッ……この犬バラバラにしてやったら一緒にくる気になるか?ワニ野郎」
派手なサングラスの奥に底知れぬ残忍さが浮かぶ。
ドフラミンゴが本気ならば、逆らったところで意味がない。 
その指の先で命を握られているのだ。
無理矢理四肢を固定されて崩れ落ちそうになる身体を両腕で何とか支え ダズはせめて目の前の主人を目に焼き付けようと必死に顔を上げた時、
不意に小さな影がダズの元へと走り寄ってきた。
にゃあん。
にゃ〜。
クロコダイルが横たわるベッドから何匹かの仔猫がえいっと飛び降りて、 四つん這いのダズの周りを飛び跳ねじゃれ始めた。 
遊んで貰えると勘違いしたのかブラシはふさふさの尻尾をピンとたててダズの脹脛あたりに カプカプと噛み付き、。
真っ黒な毛並みが自慢のブラッキーはお気に入りのダズの坊主頭をじょりじょりと舐めて満足そうにニャオーンと鳴いた。
「こっ、こら!やめるんだブラシ!」
「……」
「……」
たまらず声を上げて追い払おうとするダズに対して、クロコダイルとドフラミンゴはあっけにとられ無言のまま戯れる仔猫とダズを見下ろした。
「くっ、……クハハ…」
「っ……ボス…!」
「解け、ドフラミンゴ。これからの航海に番犬と鼠番は必要だ」
「……番犬、ね。駄犬の間違いじゃねェのか?」


「立て、ダズ・ボーネス」
低く響く声に身体の中から沸き起こる熱を感じながら立ち上がりクロコダイルを見つめる。
「全てを、知りたいか?」
瞳に浮かぶのは隠し切れない不安。
消えることはない傷を抱え全てを受け入れ、 時には疲れ果て途方に暮れて傷つき血と泥にまみれようとも、その輝きが変わることはない。
それはダズが愛してやまない金色だった。
「いいえ」
自分がなりたかったのは一夜の関係を持つ者でも肩を並べるだけの力ある者でもない。 
何を迷い動揺する必要があったのか。 
この人が生きて目の前にいる。そのひとつの真実だけで、充分だった。
今度は自らの意志でクロコダイルの前に跪き、思いを告げる。
「知る必要はありません。この命は、どんなことがあってもアンタのものです」
見つめ合うクロコダイルの瞳がふっとやわらいだその時、扉がノックされる。
「失礼」
扉の外には、すらりと長身の女が立っていた。
紫の髪には小さな金の王冠、派手なメイク、真っ赤なエナメルコートに身を包んだ女はトリッキーなスタイルとは裏腹に、冷然とクロコダイルを見据えていた。
「やっぱり逃げのびていたわねぇ…クロコボーイ」
その場の雰囲気を異質なものに変えた招かれざる客は、クロコダイルにとって海軍よりもやっかいな者であった。



★ 次走者様 ダークしず様 http://sizclo.blog.shinobi.jp/Entry/120/
ほとんど進んでませんが楽しんでかきました☆場違いで本当にすみません。
誤字脱字何回見ても見落とす子なので許してください… 
サイト等もっていませんので、何かございましたらこちらへ…






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